名言

 昨年の5月の連休に「本田宗一郎氏」の本を何冊も読んで、この欄でも紹介しました。一代で会社を設立、大企業にするまでの壮絶な人生は刺激になります。政治家では田中角栄さんが、ブ-ムになっています。石原慎太郎さんの「天才」は45万部をはるかに超してベストセラ-になっています。石原さんは以前「反角」を貫いて「君、国売り給うことなかれ」とか、国会を舞台にした小説「院内」で、角栄さんをモデルにした男を「下品きわまりない政治家」とこき下ろしていました。我々の年代なら頭に浮かぶ出来事です。しかし、「天才」では「日本がここまで機能化したのは角さんのおかげ」と角栄さんを認めています。読んでみてください。今の政治家がいかに不甲斐ないか知らされます。角栄さんは毀誉褒貶(きよほうへん)相半ばする政治家でした。経営者にも経営の金言を残された方が沢山います。その一部を紹介しましょう。
 土光敏夫(東芝・IHI・経団連会長)「沈まない船はない。つぶれない企業はない。すべては人間次第だ。一般社員は、これまでより3倍働け、重役は10倍働け、僕はそれ以上働く。」土光さんが65年に東芝危機に陥った時、社長に招かれた最初の訓示でした。

 松下幸之助(パナソニック創業者)「世間は誰ひとりとして、君の成功を邪魔したりせんよ。やれないことは、外部の事情というよりも、自分自身にあるもんや、外部のせいではない理由は自分にあるんだということを、常に心にしておく必要があるな。」幸之助さんは人間学の大家でした。「人間観の研究」という勉強会も立ち上げ「人を見たら気付きなはれ」と言いました。今ならスマホ・パソコンばかり見ていないで人間としっかり向き合ってみる必要性を言っているのでしょう。

 中内功(ダイエ-創業者)「君は電卓とちゃうか?ただ単に計算するだけやったら電卓とかわらへんやろ。君の辞書には戦略という文字はないんか?」現場主義の中内さんは「お客さんのため」をモット-に、今までにない価格破壊を進め、店舗に行けば、何か言葉を残した経営者でした。

 出光佐三(出光興産創業者)「愚痴は泣き言である。亡国の声である。昨日までの敵の長所を研究し、取り入れ、その短所を猛省し、全てをしっかり、腹の中にたたみ込んで大国民の態度を失うな。」小説「海賊と呼ばれた男」のモデルになった人です。小説の中でも紹介されていますが、商売の駆け引きに対する頭の回転、綿密に計算された決断は、私にとって大きなショックでした。

 小倉昌夫(ヤマト運輸創業者)「これからは収支のことは一切言わない。その代わりサービスのことは厳しく追及する。」宅急便の生みの親です。私は2度小倉さんのセミナ-を受ける機会がありました。現在宅配便は全国展開ですが、小倉さんが宅配便で行くと決めた時代は、既得権力(関東は関東のみ営業)官僚から、何度も妨害されました。それでも1歩も引かず、利用者のために戦い抜いた結果、今日の宅急便があるのです。セミナ-の最初と最後には必ず「サ-ビスが先、利益は後、これがヤマトの哲学です。」を付け加えていました。

 堤清二(セゾングル-プ創業者)「断られても挫けずに、何度も頼めば、どんな人でも5回目ぐらいから断るのが難儀になるもの、愚直さが相手の心を打つものです。」私も、サラリ-マン時代に「営業はチャレンジと愚直さだ」と上司からよく言われたことを思い出しました。愚直さ!今の自分には薄れているかもしれません。チャレンジ精神は、君達には負けないよ。

 鈴木修(スズキCEO)「朝令暮改は大いに結構。昨日までの常識は、今日の非常識と認識すべし」含蓄のある言葉です。

 名言集には、まだまだ多くの名言が記されていました。昭和の経営者は毀誉褒貶が激しい「天才経営者」が多いようです。しかし、どんな名言でも、それを聞く我々に、名言を取り入れる感性が欠如していれば、ただの文言です。重要なのは感性の豊かさです。(典)

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