今年も暑い夏がやって来ました。創業42年、27歳の誕生月に大きな組織を飛び出して独立した時の事は忘れない。多くの起業家が口にする「昨日の様」に思えます。42年間には、経営者として幅広い体験をさせていただきました。最近の帝国デ-タバンクから送られてくる週報には、埼玉県内で月に30社近くが倒産しています。内訳は、まず創業3~4年以内の資本金も少なく若い会社。資本ギリギリで独立し、資金繰りがうまくいかなかったための倒産です。もう一つは創業30年以上の会社で、資本金も売上金も多く、社会に与える影響は大きいです。主な原因は、他業種に手を広げ過投資、不況、経営者のアイデア不足等があげられています。肝に銘じておかなければ。
先月のOIRON通信「血液型」には大きな反響がありました。異論の方々にもう一度考えていただきたい。3学会(医学・科学・心理)が血液判断を否定している事。そして血液判断が差別につながる事を理解していただきたいと思います。話を盛り上げようと血液型をネタにしているその横で、傷ついている人がいるかも知れません。それはブラハラ(ブラッドタイプ・ハラスネント)と言われます。また軽い気持ちで血液型話に花を咲かせたことが、社会全体で血液型差別を容認する風潮につながる可能性があります。お互いに気を付けたいものです。
血液型判断と同じように我々の周りにはハッキリしない事がいくつもあります。90年代にTVを中心にマスコミで「マイナスイオン」が健康に良いと評判になりました。そのマイナスイオンがエアコンや空気清浄器から排出され健康増進に欠かせないとか、ドライヤ-からマイナスイオンが出て髪の毛にダメージを与えないとか、日本を代表する電機メ-カ-もこぞってテレビで放映していました。背景には滝の映像を使っていました。確かに滝のしぶきの当たる所では微量のマイナスイオンが体感でき、気分が良く、健康に良いと感じた人は多いです。しかし、電化製品ではイオン物質が特定されていません。本当にその効果があったのかどうか判断することはできません。いくつかの過去のデ-タついてはマイナスイオンの発生にコロナ放電が用いられたため、同時に発生したオゾンの影響が指摘されています。メディアには体験談もよく掲載されたり、放映されたりしました。体験者としてはその通りの事がおこったかも知れませんが、因果関係を立証するものではありません。因果関係を調べるのには比較臨床実験(マイナスイオンを与えた個体群と与えない個体群)が必要ですが、行われたデ-タはどこにもありません。最近は大手電機メ-カ-もマイナスイオンについては触れていませんが、まだまだ通販やチラシでは見かけます。また、皆さんは「水からの伝言」を知っていますか?水を入れたコップに「ありがとう」と書いた紙を貼り付け凍らすと綺麗な形の結晶ができ、「ばかやろう」と書いた紙を貼り付けて凍らせてできた結晶はいびつで汚い、というものです。この「水からの伝言」が多くの教育現場に持ち込まれました。典型的な例は道徳の時間でこの話が取り上げられ「きれいな言葉を使いましょう」とするものでした。水の伝言は典型的な疑似科学であり、その主張には何の科学的な裏付けがない。また道徳のように人の感情や心の持ち方を扱うのに、自然現象は何の関連も持ちません。道徳は「良い・悪い」「きれい・汚い」「ありがとう・ばかやろう」等の言葉より、その言葉を使う人の気持ちであると思います。心のこもっていない「ありがとう」と、相手のことを本当に思って口から出た「ばかやろう」ではどちらが良いでしょうか。疑似科学はまだまだあります。女性の方には酷ですが、食べるコラ-ゲン・飲むコラ-ゲンで体の内から艶のある肌に!とんでもありません。口から入ったコラ-ゲンは内臓で分解され細胞には届きません。また塗るコラ-ゲンには保湿効果はありますが、肌の細胞には浸透しません。両方とも立証されていません。疑似科学には必ず○○博士のコメントがあります。1925年博士は331人。権威はありました。2015年博士は44万6千名です。その博士疑似博士かも?我々が騙されるのは「振り込め詐欺」だけではありません。(典)