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血液型

 私達が性格の話をすると必ず血液型の話になります。酒の席では「あいつは○型だからしょうがないよ」とか「○型だから几帳面だ」と話題に事欠きません。血液型のル-ツを調べると、1900年、ヨーロッパで輸血の試みから発見されたA型・B型・C型から始まります。(後にO型・AB型が発見)当時ヨ-ロッパではアジア系民族は「劣った民族」と思われていました。ヨ-ロッパにはB型の人は1割以下、アジア系は3割以上と多く、そのためB型の人間は劣っていると定義づけされました。人間の優劣に分類する考え方は、その後ナチス・ドイツ(ヒットラ-)が「活きる価値のある人間」「活きる価値の無い人間」に分ける1つに血液型を使ったとも言われ、この時代に血液性格判断が世界に広がったようです。日本においても、1926年陸軍軍医平野林先生と矢島登美太先生が軍の適材適所に血液型判定を用いたとの文献があります。一般的に広まったのは教育学者古川竹二先生が心理学研究の発表として、血液型ブ-ムを1927年に作り上げてからです。それから約一世紀にわたり、血液型ブ-ムが続いています。女性週刊誌は必ず年に1度は血液型の性格判断を特集で掲載します。通常の特集の2割増の冊数を完売します。女性は血液性格判断が好きなのです。血液型と性格は本当に関係があるのでしょうか?結論から言えば「全く関係ない」が、医学学会・科学学会・心理学会の定説です。では何故、世間では学会とは異なり、これほど関心を持たれているのでしょう?1つは血液型性格判断の本には、血液型によらず誰にでも当てはまる事が書いてあるからです。多くの人は自分の血液欄しか見ません。他の血液型も文面は変わっても内容が同じである事に気付いていないのです。統計では自分の血液型しか見ないが80%、連れ合い、恋人の血液型も見るが20%です。これでは気付かないでしょう。文章を読み「あなたの性格は~でしょう」と書いてあると、ついそう思い込みます。自分の行動を振り返ると、私は○型だからと自分の性格を知らず知らずの内に「血液型性格」に合わせているのです。(パ-ナム効果)また血液型は4種類に手軽に分類されて分かり易く、極端に分類されて分かった気分にさせる事もあります。血液型を聞くと、それに基づく偏見的な目で人を見て、客観的に評価することが難しくなり、当たっている事だけ覚えています。当たっていないと例外扱いをして、ますます信じてしまう傾向にあると言われています。血液型性格判断を信じるあまり、間違った説や占いにより自分の性格がゆがめられたら怖いことです。若い時代(学生時代)に頭に浸透するならば、血液型と性格は無関係と考えるのは難しくなると思います。職場での血液型判断はタブ-です。

 アメリカで行われた実験ですが、成績の上位・下位の生徒をランダムに2つのクラスに分けました。2つのクラスの教科平均点はさほどの差がありません。1つのクラスの担当教師には「あなたの担当クラスは成績上位者です。必ず成績を伸ばしてください」もう1つのクラスには「あなたの担当クラスは少し劣っています。一定線まで教えて下さい」と告げます。授業中でも「君達は成績上位者だ。将来の夢に向かって」等アクティブな言葉をかけます。他のクラスには「ここまで分かれば良い、やれるところまでやりましょう」と現状維持の言葉をかけます。1年後両クラスで学習した範囲のテストをしました。結果は10点以上の差が出ました。上位クラスの生徒は「自分達は成績上位で夢を追える生徒だ」と自分自身を洗脳します。他は「このままで良いと」洗脳します。信念を持ってしまいます。(学習のステレオタイプ)この結果は侮れません。しかし指導者が間違ったステレオタイプを持ってしまうと大問題です。中間・期末テストで間違うと「教えただろう、何故答えられなかった、出題されると言っただろう、何故、何故、・・」教える事に信念を持っていても、成績を伸ばす事に信念が無いのです。

 生徒に問う前に自分に問うべきです。学習のパーナム効果も!(典)