「 OIRON通信 」一覧

環境

 私の育った三重県大台町には1946年~1964年の18歳まで住んでいました。家の前には、国道42号線があります。42号線は浜松市から和歌山まで、約500kmの国道です。今はバイパスも出来、広い道路ですが、当時は狭く、大型バスが交差するのがやっとでした。三重県を横断する幹線道路ですから交通量も多く、事故も頻繁に起きて、皮肉で「シニ号線」とも言われていました。今は、国道に沿って高速道路も整備されて交通のインフラは大きく変わりました。しかし、私の住んでいた頃は、砂利道で舗装されていませんでした。雨が降ると、道には大きな窪みができ、窪みはだんだん大きくなって、車酔いするぐらい車は揺れていました。秋になると尾鷲港で水揚げされた「サンマ車」が家の前を通ります。サンマ車は荷台に溢れるほどの量のサンマを積んで走っていました。車の後輪が、道路の窪みにはまると、車は大きく揺れ、荷台に満載されたサンマが道路に落ちます。当時のサンマは現在ほどの高級品ではありません。運転手も業者も途中で失う量は想定内の出来事だったのでしょう。美味しくいただきました。道路にサンマが落ちて、秋が来た! 道路に花芝が咲いて、正月が近い!と思う時代でした。42号線に沿って紀勢本線が走っていて、小学生の時は蒸気機関車でした。本数も多く、通勤通学には無くてはならない交通機関で、路線バスも便利な本数が走っていました。環境としてはゆっくりした時間が流れていました。現在、交通インフラは大きく変わりましたが、水も空気も綺麗で自然に囲まれて「山河古今不変なり」と環境を破壊するものは何もありません。結果、町民は長寿です。

私達が食している魚類の多くは養殖で育っています。海を網で区切って、エサを与えて育てます。食べ残しのエサは、プランクトンの大発生につながり、海水は酸欠になり、養殖場の周りにいる自然の魚や貝が死んでいます。最悪はインドネシアです。インドネシアには世界一広いマングローブ林がありましたが、1980年から2005年の25年間で、マングローブ林の30%が、エビ養殖場として伐採されました。マングローブ林は、熱帯亜熱帯地域の海や川に広がっていて、多くの生きものが暮らし、風や波を静め、洪水などの水害を減らしています。マングローブ林が無くなると、環境に対する影響も大きくなります。環境破壊は他にもあります。南アメリカのチリでは、以前いなかったサ-モンを養殖しています。サ-モンは肉食魚です。養殖場から逃げ出したサ-モンはチリにとっては外来種です。チリでは逃げたサ-モンと既存する肉食魚がエサの取り合いで、食物連鎖が崩壊して、元に戻らない状態です。エビ養殖、サ-モン養殖とはいえ、国家経済がかかっています。元の環境には戻れません。(我々が食べているサーモンの40%がチリ産)

 皆さんがファミリーレストランに行くと、必ずテ-ブルにメニューが置いてあります。係の人に案内されて席に着き注文しますが、女性客のテ-ブルにはメニューはそのまま置いてあります。男性客の場合、メニューは邪魔者です。女性客は「ヘェ、こんなものもあるんだ。今度頼んで見よう」とか「今日も余裕があれば頼んでみよう。」とメニューを見ます。デザ-トのメニューにも目が移ります。女性はメニューを3度見ると言われています。1回目はオーダーする時。2回目はオーダーした後、見落としが無かったか?あれば追加注文します。3回目は食べ終わった後、自分が食べた料理名や食材の確認と、次回来た時にオーダーする料理を選びます。メニューは商売の環境作りに貢献しています。味が良くなければ3回目は絶対ありません

 東大合格者の勉強についての追跡調査があります。合格者の75%が親から「勉強しなさい」と言われたことが無いそうです。しかし、殆どの親が、小さい時から子供と一緒の場所で勉強か読書をしていました。勉強も環境です。(典)