お金の魅力

 2月は年間で一番寒い月になります。また新年度の準備の最終チェックの月でもあります。昔から、二・八と言って、2月と8月は、多くの業種で景気が悪いとされています。原因としては、2月は正月明けで、出費が止まり、8月は先祖が帰ってくるから家を空けられないからでしょうか。また寒さ暑さも関係するでしょう。二・八は、最近、全く違う意味で若い人が使っています。2割の優秀な社員の売り上げが、全体の8割を占めるという説があります。また、地球上の2割の人達が8割の利益と富を分かち合い、残りの8割の人が2割の富を奪い合っていることから,この事を『二・八の法則』と言う方が有名になっています。どちらの二・八も経済に関わっています。経済の大動脈を流れるのが、お金です。お金には独特の法則があります。持ち金が0円に近い人は、頼むから3000円貸して、懐が心細い時は1万円貸してと言います。生活ができる金額を聞くと3万円欲しいと答えます。貯金を全く持っていない人に「実現可能な金額として、とりあえずどのくらいの貯金が欲しいか」と聞くと10万円と答える人が圧倒的です。とりあえず10万円あれば、ちょっと困った時に助かります。ところが10万円程度の貯金がある人にこれで満足していますかと聞くと、30万円欲しいと答えが返ってきます。次に30万円持っている人に同じ質問をすると100万円程度欲しい。100万円持っている人に聞くと、同じ様に満足していなくて300万円が目標になります。300万円持っている人は1000万円。1000万円持っている人は1億円欲しいと答えます。「金欲の逆ピラミット」です。このピラミットは何故か3・10なのです。1億円持っている人は3億円。3億円あったら10億円になるかも知れません。お金はいくらあっても困らないという性質があります。食べ物や衣類などはありすぎて困りますが、お金には限度がありません。最近、日産自動車のカルロス・ゴ-ン元会長の有価証券報告義務疑惑をはじめ、企業や、個人の脱税が、新聞やTVから流れてきます。お金はいくらあってもいいのですが、その結果、お金のために働くようになり、お金に心を支配されて、お金の奴隷になっている人も見かけます。

 以前、西日本の山中で暮らすある夫婦の特集をTVで見た事があります。ご主人はアメリカの金融機関で働いていました。外資企業は個人の成績で給料が決まります。20代で最低3000万円の年収があり、金欲の逆ピラミットならば次は1億円・・となるところでしたが、このご主人は趣味もなく、仕事に疲れ、夫婦の会話も無くて、自分の人生がお金に支配されていることが嫌になり、山中に引っ越しました。食べ物は自給自足、家の修理は、近くの大工さんに弟子入りして技術を習得し、冷蔵庫の代わりは沢の水です。この夫婦は自然に囲まれての生活ですから、殆どお金はかかりません。価値観の問題ですが、お金の支配から逃れて、自然の支配に身を任せたのでしょう。

 夢を見させてくれるお金もあります。家などの資産を持つために無理のない貯金や、自分を磨くための貯金は、通帳を見るのが楽しくなります。出来上がった自分の家や、学び舎に身を置く自分の姿を想像すると、仕事にも意欲が湧きます。貯金の桁が1つ上がると、心がワクワクするものです。このワクワク感は、私の場合、生徒の数と、生徒の成績上昇で感じることが出来ました。一斉授業でしたから、5人のクラスが10人に、10人のクラスが15人に、定員の20人になると、頭の中が、授業一色になり、時間の過ぎるのを忘れてしまいます。いつだったか、夜の10時に終わる授業が、気が付けば11時、1時間の延長です。これは良い事とは言えませんが、生徒と教える者が一体となり、その結果は成績に現れてきます。お金のワクワク感も、仕事のワクワク感も、考え方次第では同じではないでしょうか。

 「あなたは、1億円欲しいですか?差し上げましょう。しかし、1億円を手にした瞬間、あなたは自分の部屋6畳から一生出てはいけません。それでも1億円欲しいですか?」これは私の恩師Dr.・コックスの言葉です。彼は、自由こそ何ものにもかえがたい大事なものである、と考えるアメリカ人でした。

 お金、自然、ワクワク感、自由。あなたが優先すべきは何でしょう。(典)

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